【第5話】ひとりの夜

……矛盾していることはわかっていた。

何しろ俺は、強引にカラダを奪って羽村を縛っている。
俺のペースに巻き込んでしまおうと画策している。

だけどそれはまだ、一緒に過ごす夜の間だけのこと。

俺の呪縛が通用するのは、隣にいる時だけ、だ。
離れた場所にいる羽村に俺が電話で何を言ったって、きっと効果はほとんど望めない。

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