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「宮野、ちょっといいかな?」
羽村が席に戻ってから、隙を見て宮野を呼び出した。
一瞬、『?』を浮かべた彼女は不思議そうに俺の後に続く。
休憩スペースの自販機に小銭を入れ、「好きなの選んでいいよ」と言って促す。
恐る恐る、といった様子で甘そうなココアのボタンを押した宮野を近くにあった椅子に座らせ、俺もその向かいに腰掛けた。
「……あのぉ、どうしたんですかぁ?」
「……うん」
怪訝な顔を隠しもしない宮野に苦笑しながら、俺はまっすぐ彼女の顔を見る。
「打ち合わせの席でのこと、聞いても良いかな?」
「えっ……」
「さっき、何か言おうとしてたよね?」
警戒されては元も子もない。
優しいトーンで、丁寧に聞き出そうと思った。
言いやすい雰囲気作りはしているはずだ。
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