13:隠れていた当たり前

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 え?  さとにいは笑っていた。 「ストーンとな、反抗期が終わったわけ」 「なんで?」 「のりこ覚えてねえか? 小学三年生の時さ、ジャングルジムから落ちたろ?」  ……記憶を呼び戻す。転んだり落ちたりはけっこうあって、どれのことかわからない。 「どれかな?」 「ブハッ、確かにお前お転婆だったからな。どれか、覚えてねえか」  いつも泣いてる私を海が励ましてくれた。小さい頃からずっと海は、私の傍にいたっけ。 「海がさ、熱あってさ、のりこと陸だけで遊んだ日」  二人だけで遊ぶ? そんな日、あったけ? 「本当に覚えてねえのな」  うん、申し訳ない。 「お前さ、ジャングルジムから落ちたんだ。で、家に陸が走ってきて、俺すぐに公園に行った。お前さ、大泣きしてた。『陸のバカア!』って、『陸なんて大嫌い』ってさ」  え? そんな記憶ない。全く…… .
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