プロローグ

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ーー**歴1894年ーーー 大きな花火が上がると共に、大歓声が起こった。しかし、これは喜びの歓声ではない。戦いの合図である。 大きな地響きが辺りの音を消し、しばらくしてから金属の合わさる音が何合も聞こえてきた。剣で打ち合い、鎧を傷付け、兜を割る音と共に、柔らかい何かが傷付けられ、液体の滴る音も聞こえる。 「歩兵隊!最前列は1の隊形に!」 「魔法隊!炎弾を奥に撃て!」 大きな火の玉や水の玉、岩が宙を飛び、それぞれの布陣に着弾。少なくない犠牲が出るが、すぐに怪我人は運ばれ、新しい兵が出てくる。しかし、怪我をしたはずの兵もすぐに戦場へと戻ってきていた。 「奥の重体の患者さんから回復して!入り口に座り込んでる人たちは軽い回復魔法でなんとかして!そこ!擦り傷に消毒液かけられたくらいでべそかくんじゃない!男だろ!」 鋭い目付きの女性看護師がテントの中を駆け回り、次々と指示をしながら、自らも重体患者に回復魔法をかけ続けている。相手側も似たようなものなので、力は拮抗していると言える。 そんな中、空から何かが落ちてきた。………いや、降りてきた。大きな鳥の様な生き物だった。 「魔物だ!」 誰かがそう言った途端、その鳥型魔物の首が飛んだ。 「え?」
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