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あれは去年の11月の県の大会だった。
それまで100、200mにエントリーしていたのが、急遽400mの欠員が出て追加エントリーしたところ、その準決勝で日本記録に0コンマ14まで迫るタイムを出した。
決勝ではタイム更新はならなかったもののぶっちぎりで優勝した。
その時は、新聞の地域版に
“次期短距離界のエース”とか
“400mの新星現る”とか
果ては“トラック王子”とか
一時的に騒がれたものだ。
あのときゴールを駆け抜けた瞬間、なんていうか、タイムじゃなく、そうすべてを出し切ったという充実感みたいな、いや、言葉で現すことなんか出来ない。
強いて言うなら“神からの祝福”とでもいうやつが近いかもしれない。
オレはもう1度その祝福ってやつを味わいたいと思い真剣に取り組んでいるのだが。
しかし、その後大会では勝てるもののタイムが伸びなくなり、あの感触を味わうことも無い。
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