夏の章 はじまり

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 小さい頃からその光景を見ていたから、それはそういうものだと思っていた。  だけどいざ自分が参加することになってみると、その印象はがらりと変わった。  今はもう近くの町に吸収されて村ではないけど、この集落は少し前まで村と呼ばれていて、同じ町に含まれている他の集落とは風習が少し異なる。  その一つがお盆だった。  集落の墓地は一か所に固まっていて、高くはないが木が鬱蒼と茂る山の上にある。  小さくて古びたお寺の奥にある石段は山の斜面に沿って山頂へと続き、昼間でも薄暗いその道が墓場へ行く唯一の道だ。  山頂に着くとまず小さな社(やしろ)があり、その後方に各家々の墓が点在している。
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