もう一つの証-2

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エレベーターはいつもの立ち位置で 私は渉さんの背中を見つめながら いつも以上に鼓動を速めていた。 渉さんも 私も 何も話さず エレベーターは静かに上へ私たちを運ぶ。 最上階に到着して扉が開く。 絨毯の上をさらに歩調を速める渉さん。 秘書室の手前で渉さんが私を振り向かずに言った。 「来い」 「…はい」 私は胸が苦しくなるのを感じながら秘書室を通り過ぎた。 私は… 渉さんのその言葉がなくても 社長室まで渉さんを追うつもりだった。
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