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姉、と。
メルティアはそう名乗った。
俺が違う世界から来たことを知っているミスティはこちらにちらりと視線を向けたけど、この場ではそのことに触れなかった。
「不出来な弟だけど、よろしくお願いしますね」
と、ミスティににっこりと微笑む。
元の世界での姉も同じことを言いそうだ。
「それはそうと、どうしてここに?」
ミスティの知らない、村での俺の恥ずかしい話を始めかねないので話を逸らす。
姉とはそういうものだ。
「私の仕事知ってるでしょ? 救援と救護、それから支援よ。まさかアンタが最前線にいるなんて予想もしなかったけどね」
思いもよらない場所での想定外の再会に驚いたのはお互い様だった。
前例のない、魔物の大群との大規模な戦闘。
期間も被害の想定も動員もまったく予想不能。
それゆえ、各地からこの都市に多数の人材が派遣され、メルティアもその一人だった、というわけだ。
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