秘密特訓

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そして和気藹々としたピザ作りが始まった……と思ったのだが、若干俺の予想とは反していた。 もっとこう、楽しくお喋りしながら協力して作る場面を想像していたんだけど。 何故か黙々と手を動かしている。 俺を挟んで右側にはミスティ、左側にはミローヒがいてそれぞれに作業しているのだが、そこに女子会のような明るい会話がない。 時たま、二人ともちらりと横目で相手の様子を窺う程度。 そんな身を切るような沈黙が続く中で、俺だけ陽気に独り言を垂れ流すことなんぞできるはずもなく、結局俺も同じように口を噤んでしまう。 得体の知れない緊張感を放つ二人に挟まれた俺の心境を表すならば、黒豹と妖狐に両脇を固められた気分。 まだ打ち解けてないのかなぁ。 「……っと、生地の固さはこんなもんかい?」 その空気にいたたまれなくなったのか、ミローヒが話題を振ってきた。 助かったけど頬が引き攣っていて不自然極まりない。 「ああ、うん、いい感じ。力作業になるけど、同じようにもう一つ作ってくれるかな?」 なるべく自然体を心掛けてそれに答える。 そんな俺の頬に冷汗が伝うのは見逃してもらいたい。 ミローヒは今作った生地を休ませるため、別の作業台へと運ぶ。 その時、右にいるミスティが俺の袖をつんつんと引っ張った。
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