12

2/37
72人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「いらっしゃいませーっ」 「お買い上げありがとうございますっ」 「こちらのSサイズですね?」 翌日開店すると、もう目まぐるしい程の忙しさだった。早朝から並んでいた人からどんどんと店に流れ込み、店内は人だらけだ。 「亜稀南さんサッカーお願いします!」 渚ちゃんがレジから叫ぶ。私は品出しを助っ人社員に任せて、レジへと入る。 「お次にお待ちのお客様。商品お預かり致します」 お客様に声をかけ、服を畳む。その繰り返し。お昼になっても誰一人お昼御飯休憩には出られず、私はお昼が来ている事も気付かなかった。 「午後からヘルプに入る梶です。よろしくお願いします」 「っ!!」 後ろからいきなり声をかけられた為、私の手は止まった。レジをうつ渚ちゃんは、「よろしくお願いします」と無表情のまま挨拶をし、またタグをレジに通し始める。 私もまた服を畳む。チラッと後ろを見たけど、そこには壁しかなかった。そして売り場に視線を移すと、臣はもう接客をしていた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!