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両親はもやしっ子のような体格をしているから、突然変異か!? と周囲から驚かれるような高長身とがたいの良さに恵まれた俺。
野郎は拳で語るもんだと、小さい頃から好きだったバトル系漫画を読み漁った為に信念はそれで。
おかげというかなんというか、餓鬼の頃から俺は口数少なくて、おまけに目つき悪なもんだから、周囲には子供は天使だというのに凶悪な子供という異名をこそこそ付けられていて。
更には……
喧嘩の負け、なし。
愛想、なし。
眉毛、なし。
という、なしの三拍子。
俺、藤堂虎勝(トウドウトラマサ)は女が言う華のエイティーンだというのに、物騒なおじさま方からある意味メジャーデビューしないかというお声をかけられる始末で。
彼女もいなけりゃ、強面と戦歴故にダチもできない文字通りの一匹狼になってしまっていて。
学校サボって町中をあてもなくぶらぶらと歩いていれば、短髪を金に染めた頭は目立っているようで、マダム共が俺の頭に視線を集めながらひそひそと小声で何やら話しているのをシカトしながら。
ていうか聞こえてんだよ。
ゆとり教育のせいね!! 頭が金髪なんて!!
ホストかしら!? あの身長もしかしてどこかの王子様!?
なんて声がっ。
ゆとり教育だから髪を染めているわけでもないし、ホストでもないただの平凡な高校生だし、純日本人だ、俺は。
腰ぱんしている学ランのズボンのポケットに手を突っ込んだまま半眼になってりゃあ、ふと目に入ったのは……陸奥屋百貨店。
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