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やまぶき邸は洋館だけれど、一室だけ和室がある。これは実はにじり口もついている茶室で、あくまでも応接間で居住空間には向かない。
和服はすべて、元夫の家に置きっぱなしにしていたけれど、この機会に、義母に頼んで送ってもらった。
義母は腫れ物に触るように丁寧に応対してくれた。
離婚してから優しくされるのは不思議な気もしたけど、ほっとした。
久々に和服に袖を通した。
そう言えば結婚してから、冠婚葬祭以外で着る機会はなかった。
男物を数点お兄さまからお借りしようかと思っていたけれど、それは貴和子さんが用意するというのでお任せすることにした。
確かにお兄さまに理由を説明すれば怪訝な顔をされてしまうだろう。
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