第1章

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*** 「柚子、こっち向いて。」 「ん?」 振り向いた私の頭に、楓が満面の笑みで何かを乗せる。 ふわり。 お日様に照らされた、お花の香り。 「わー、やっぱり似合うよ!可愛い!」 「花冠?」 「うん!柚子、お姫様みたいだよ。」 「えへへ。」 公園の草むらに、2人しゃがみ込みながら、肩を触れ合って笑った。 楓のお日様みたいな笑顔が、大好きだった。 太陽に照らされて、柔らかい癖っ毛が、金髪みたいに透き通っている。 「楓、大好き。」 「うん、僕もだよ。柚子。」 キスなんてまだ知らない、小学生の私たちは、額を重ね合ってクスクス笑った。 「大人になったら、絶対結婚しようね。」 「うん。絶対だよ?」 「うん。約束!」 「約束!」 楓が差し出した小指に、私も小指を絡めた。 私たちはすごく近い距離で、目を合わせながら、いつまでもいつまでも、つないだ小指を上下させた。 ***
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