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「柚子、こっち向いて。」
「ん?」
振り向いた私の頭に、楓が満面の笑みで何かを乗せる。
ふわり。
お日様に照らされた、お花の香り。
「わー、やっぱり似合うよ!可愛い!」
「花冠?」
「うん!柚子、お姫様みたいだよ。」
「えへへ。」
公園の草むらに、2人しゃがみ込みながら、肩を触れ合って笑った。
楓のお日様みたいな笑顔が、大好きだった。
太陽に照らされて、柔らかい癖っ毛が、金髪みたいに透き通っている。
「楓、大好き。」
「うん、僕もだよ。柚子。」
キスなんてまだ知らない、小学生の私たちは、額を重ね合ってクスクス笑った。
「大人になったら、絶対結婚しようね。」
「うん。絶対だよ?」
「うん。約束!」
「約束!」
楓が差し出した小指に、私も小指を絡めた。
私たちはすごく近い距離で、目を合わせながら、いつまでもいつまでも、つないだ小指を上下させた。
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