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足が前に出ない。
待ち合わせ時間まで後5分。
柱の向こう側には女性の視線を浴びても動じずクールに立っているイケメン。
待ち合わせが人通りの多い駅前だったのを心底後悔した。
お待たせ、と走って行けばいいのだろうけれど、あの視線が全て自分への敵意や好奇に変わるかと思うと、なかなか動きだすことができない。
「くっ。ヘタレだなぁ、私は。」
思わず漏れる溜め息。
「ここまで来といてビビるなんて、子供かっ。大丈夫、そこまで私も衰えてないはずよ。笑顔で駆け寄れば…。」
「聞こえてますよ、独り言。」
真後ろからの恥ずかしい指摘に驚いておもいっきり振り向くと、そこにはさっきまで柱の向こう側にいた鈴村さんが立っていた。
ビックリして言葉を失ったままの私に、
「改めまして、鈴村です。」
と微笑みかけてくれた。
でもやっぱり少し冷たい感じがするのは、まだ良く知らないせいなんだろうか?
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