のぞみのうで

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「トモ! こら! そっち行っちゃダメだって!」  ハイハイが意外と速いことが分かった。  気付けば、NOZOMIの手が届かない所にトモはいる。  博士が散らかした床にある物は、全て片付けた。  トモが手当たり次第口に入れるからだ。  NOZOMIも苛立ってくる。 「トモ、それは食べ物じゃないって何回言わせるんだ?」 「言ったって分かんないよ」 「なんで?」 「なんでって……」 「博士が何度言っても聞かないようなものか?」 「……それとは、ちょっと違う」  トモは、博士の膝の上がお気に入りのようだった。  NOZOMIがいくら「こっちに来い」と言っても動かず、無理矢理抱くと、泣き出した。  抱き方は上手くなったのに。  トモは、「ママはあっちだよ」と困ったように笑う博士に手を伸ばす。  なぜか寂しさと、はじめて羨ましさを感じた。  博士に嫉妬した。  トモにも嫉妬した。 「トモは、博士がいいみたいだ。博士が面倒を看ればいい」 「君に頼んだはずだ」
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