嘘のはじまり

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  何が、そー来たか? どー来た訳?? なんて首を傾げる私に、香子はニッコリ笑顔。 そして、 「えー?朝未、城戸くんに告白されたのぉぉぉ!」 なんて、とんでもない事を大声で、言いやがった! 「ちょっ、」 「だからお昼居なかったんだぁ。二人とも」 殴りたい。 私、人生初だわ、友達を、女子を、殴りたいと思ったの。 「香子っっ!」 「ん?」 ん?じゃないでしょ? ん?じゃ!! この社内で、唯一、私と篤哉が付き合ってた事を知ってるのが香子。 私の親友で。 そして、篤哉とは幼馴染み。 「だって、そーゆー事でしょ?」 「……あんたら、私の傷に塩でも塗りこみたいの?」 何? 連携プレイなの?コレ?? 「まさか」 「じゃあ、何の真似よ」 「別に。私もあっくんに賛成なだけ」 賛成?? あの無意味としか思えないゲームに?? 「だって私も納得いかないもの。彼女が居るの解ってて手ぇ出すオンナと、彼女が居るのにホイホイ流されたオトコがクズなのに、朝未が負け犬扱いとか」 ……それ、6年前、あんたの幼馴染みもやらかしてるんだけど。 そこんとこはスルーなの?? 「だからって、こんな事無意味じゃない」 「無意味ではないと思うわよ?」 「何で?」 「あの二人にとって、誰よりも効果的な武器になるわよ?あれ」 何だ、それ?? 「ま。朝未は何もせず、ただ黙ってあっくんに口説かれてればいーのよ」 「何の為に?」 「売られた喧嘩は、キッチリと買い取ってあげるのが礼儀でしょ?」 ヤンキー思考じゃないの?それって。 「何だかなぁ」 「いいのよ。人を傷つけた代償をキッチリ頂こうってだけの話なんだから」 そーゆーのは、自ら手を下すモノじゃないんじゃないの?本来。 「朝未は何もしなくていいから」 「それ、篤哉にも言われた」 あー。 だめだ、もう。 本当、考えるの嫌だ。 疲れる。 面倒くさい。 「でしょ?」 「……あー」 もう、どーでもいーや。 私、知らない。 好きにして。 先刻までと少し違う周りの視線が集まってる事に、ため息ひとつ。 その視線の中に混ざる違う色。 何故か敵意むき出しの視線をくれる略奪女と、私を裏切った男。 ……ってか、何で私があの二人にあんな眼で見られなきゃならないんだ?? 「ね?効果あり、でしょ?」 「ほーんとだ」 なるほど、ね? まぁ、確かに。 周りから憐れんだ視線を頂くより、こっちの方が性に合ってるのかもね?  
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