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カタン、カタタンッ。
揺れる電車。
通学、通勤の時間帯は、いつも満員で、座れたことなんてほとんどない。
暖房が効いた冬の車内は、いつもなら快適なのに、今は鳥肌がたつほどに寒い。
……キモチワルイ。
サワラナイデ。
骨張った手のひらが、体に密着して、もぞもぞ動いている。
ヤダ。
ヤメテ。
なんで……いつも、あたしばっかり。
涙目で、今日も我慢するしかない。
だって、こんなこと言えない。
「やめて」なんて、怖くて……
「大丈夫?」
「っ……――」
自分で動くのだって難しい車内で、力強く手を引いて助けてくれたのは、“あなた”だった。
それから、ずっと……。
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