先輩、さよなら。

13/50
7889人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
「美玖は何にするの?」 「んー、チョコバナナクリームたい焼き食べたいんだよなぁ」 「そんなの購買にあったかなぁ」 「駅前のたい焼き屋にはあるんだよ」 「それは、たい焼き屋だからだよね」 「今ねー、期間限定で、桃の果実入りたい焼きとかあるよ」 「へー、おいしそう」 そんな他愛ない会話を続けながら、廊下を歩く。 購買まで、あと5メートルほど。 後ろから、クスクス笑い声が聞こえて、 「可愛い話してるな」 聞き覚えのある男子の声に、あたしは反射的にパッと振り向いた。 「せ、先輩……っ!」 と、隣の直樹さんを見つけて、ちょっと気分が落ちた。 今日もまた、何か意地悪されそうな気がするから。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!