必然

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「カチカチの石頭だな……医者なら柔軟になれや」 土方は徳永にそう言った。 「なら、何があったのか教えて下さい。僕には理解不能だ」 土方は小田を見た。 小田はゆっくりと縦に頭を振った。 土方は三年前の土井が慶長5年にタイムスリップしてしまった話とそれに纏わる事件の顛末を語った。 「それで、あんたに会った。偶然じゃない、必然って事になる」 徳永は首を何度も横に振った。 「信じがたいが……土井さんがそれだけ中毒症状になってしまったのはあなたとの接点です」 小田は淡々と説明をした。 「あなたもその真実を知らないから余計に症状を悪化させてしまいました」 「僕が……近くにいたから……」 徳永の顔が落胆していた。 「もし、この話が本当なら、長丸くんが来てから利さんはかなり元気になっているのはおかしくないですか?」 徳永は必死の抵抗をみせる。 「逆だとしたら?土井を助ける為にここへ来たとしたらどうする?」 土方が追い討ちをかける。 「何故、僕はダメなんですか?」 徳永は心が折れそうになるのを必死で食い止めた。 「長丸くんの方が徳川秀忠に近かった……てのはどうです?」 「……?」 「証人さんに聞いてみますか?」 突然、土方の側に老婆が現れ、徳永に深 く頭を下げた。 今時珍しい着物姿で綺麗に白髪混じりの髪を結っていた。 「徳永様、坊ちゃまが大変お世話になりました」 徳永は恐縮して頭下げた。 「悪いがこのふたりに長丸の事を話してくれないか?」 土方は徳永と小田を見て言った。 「私共がご迷惑をかけたのです。長丸様のお話をさせて頂きます」 その老婆は目を瞑り一呼吸置いて語り始めた。
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