第3章【姫の部屋】

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コーヒーショップのコーヒーが好きで、豆がひいてあるものを買ってはくるんだけれど、なかなかお店と同じ味にならなくて試行錯誤していたところだったから、ありがたい申し出だった。 私が食器を洗う隣で、王子がやかんを火にかける。 その間にコーヒーカップにフィルターをセットして、粉末をサラサラと投入した。 「店でもドリップすることあるの?」 「いや、店は全部機械だからないけど、俺バリスタの資格持ってるから」 「えぇ!?」 「専門学校行ってたから資格っつっても貰ったようなもんだけどな。道具さえあればカプチーノだって作れる。今度作ってやろーか?」 「あぁ……うん」 驚いた。 この性格だし、本格的に勉強してる姿とか全く想像出来ないから……。 でも、こうしてドリップしてる姿を見ていると、ここがカフェに見えてきて、王子も制服に身を包んだバリスタに見えてきた。
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