プロローグ

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…最初から、わかっていた。 彼が私に何の興味も持っていない事くらい。 …だけどあの日、初めて行ったバーで偶然会って。 会社以外で会うはずのない男に、私は珍しく弱みを見せてしまった。 『綺麗だね』 『こんな美人、なかなかいないよね』 『彼氏と別れて、俺と付き合わない?』 …男から言い寄られる事には昔から慣れていた。 だから余計に、惹かれてしまったのかもしれない。 彼が一瞬見せる、暗く冷たい表情に。 …私に見向きもしない、その姿に。 年下の私にも、決して敬語を崩さないその人は。 …何度も顔を合わせたことのある、同じ会社の男。
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