番外編②joyful days

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「私、やっぱり川野さんと……!」 彼女の言葉を最後まで伝え聞く前に、俺は彼女の華奢な身体を抱きしめていた。 「あの、川野さん……」 「僕から、もう一度言わせてほしい。……僕と、恋をしてくれませんか」 その瞬間、彼女の手が僕の背中に回った。 その手は、小さく震えていた。 その震えが俺の体にも伝わり、愛しいと感じた。 「……こちらこそ、よろしくお願いします」 雨の中、こんな道端で女性を抱きしめる俺は、相当みっともないだろう。 でも、今だけはどれだけみっともなくても構わない。 手に入ると思っていなかった。 もう、この身体に手を伸ばし触れることなんて諦めていた。 けれど彼女は、ここにいる。 俺の腕の中で、綺麗な涙を流しながら。 「川野さんまで濡れちゃいます……」 「濡れたっていいよ。後で乾かせばいいんだから」 「ダメです。川野さんが風邪を引いたら大変です!大人の風邪は治りにくいんですから」 つい先ほどまで綺麗な涙を流していた彼女は、初めて会ったときのようなしっかり者の彼女に戻っていた。
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