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シャワーを浴びて、リビングに戻ると、昨日の桜の引き出物を置きっぱなしにしていたのに気付いた。
昨日は何もする気がおきなかったから………。
「引き出物、何かな………」
ホテルのロゴの入った大きな紙袋。
中に入っているものを一つずつ取り出した。
引き出物は、カタログギフトか。
パラパラとカタログギフトをめくる。
後でじっくり見よう。
それから、引き菓子。
わ、これ有名スイーツショップの焼き菓子セットだ!!
さすが桜さん♪
明日の朝、いただこう。
それから、自分で入れておいた席次表や、帰り際にもらったプチギフト、自席カード、お裾わけの卓上の花はもうしおれてしまった。
「………あれ?」
紙袋の底に見覚えのないカードを見つけた。
名刺サイズのそれを手に取り、書かれている文字を見る。
一気に心臓の鼓動が早まる。
「な、なんで………!」
いつの間にこんなものが………?
それは名刺だった。
【三門グループ 専務取締役
三門 蒼介】
どうして?
いつこんなものが………?
裏を見れば、懐かしい文字に目が止まった。
【連絡待ってる】
そして、手書きの携帯電話番号と、メールアドレス。
番号もアドレスも………未だに記憶の奥に残っている、あの頃のままだった。
「どうして………?」
訳が分からない。
どうして今更連絡なんて………。
意味が分からなくて、とりあえずこの名刺も引き出しにしまった。
もうやだ………。
頭の中がグルグルする。
軽く食事を済ますと、すぐにベッドに潜り込んだ。
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