§最終章Ⅰ§

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一体、私のどこがいけなかったんだ……? 春香、どうして私を裏切ったんだ……? 私は多くの女の愛などいらない。ただ1人の女の心を望んだだけなのに………… 目の端に滲んだものを流すまいとぐっとこらえて顔を上げ、ソファの背に体を預け、目を塞いだ。 “体が離れれば心も離れる”と、誰かがそんなことを言っていたが、10年経った今でも私は彼女が忘れられない。 胸が締め付けられ、とても息苦しい。 憎くて憎くて、 でも、それでいて、愛しい女―――… ヴ―――… ヴ―――…  突然スマホが振動し、そちらに注目した。 こんな時間に誰だ?
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