§最終章Ⅰ§

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春香と別れてからの自分は荒んでいた。 怒りと悔しさとみじめさは強い酒を飲んでも消えず、春香への対抗心からいろんな女を抱いた。 一人の女が俺の前から消えたことぐらいどうだというのだ。 私に抱かれたくて言い寄ってくる女はこんなにたくさんいる。 有る意味、春香にみせつけたかったのだろう。自分はこんなに魅力のある男なのだと。 だが…… 数をこなして優越感は満たされたが、心は一向に満たされなかった。 そればかりか、やればやるほど自分が虚しくなっていった。 荒れ果てた荒野を1人で延々と歩いているようなものだった。 “敦志さん、愛してる。一生、あなただけ” 魅惑的な、甘い香りをふりまきながら、春香の幻影が脳裏を横切り、ふっと嘲笑した。 あの言葉を聞いたのは、遥か昔のことのようにも感じるし、つい最近のことだったようにも思える。
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