第1章

4/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 目覚めた時、バクバクと鳴り響く胸の上で、固く両手を握り締めていた。  あまりにもリアルだったためにそれが私の観た夢だったと気づくのに時間を要した。  時計は深夜二時を指している。  怖くて怖くて、真夏なのに冷や汗で濡れ、全身総毛だっている。  (どうぞ未来の本当でありませんように。)  祈りながら目を閉じた。  すぐには眠りに落ちることができなかったが、いつの間にか寝てしまったようだ。  ところが、また同じ夢を見た。  炎の塊を最後に目に焼きつけてまた目覚めたのだ。  あまりにも恐ろしいので、もう一度眠りにつくことを諦めた。  パソコンを立ち上げてネットで検索した。  『ポンペイ』と。    何故か、今見ていた夢の中の街がポンペイの噴火で消失した街であると確信していたからだ。  検索にヒットした記載内容を読んで息を呑んだ。  イタリアの『ポンペイ』で歴史的な大噴火が起こっのは、ちょうど、1930年前の今日だった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!