平凡とヤンブラと

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* 「いたたた……噂通り、重いのくれるなあ」 寝台に乗り出していた彼の身体、今床へと落ちている。 俺は拳を握りしめたままだ。 「……アンタ、本当にどこまで知ってるんだ」 「さあねえ。ただなんでそこまでして後輩くんを守ろうとするのかなって、不思議なだけ」 懲りずに寝台まで近づいてくる芹澤さんに、身じろぎする。 「あはっ、そうしてるとその平凡な顔も少し可愛く見えるね」 「平凡はほっとけ!!!!」 俺氏、この状況にも関わらず突っ込むくらいにはまだ余裕があるとみた。 そんなことよりだ。 どうしてこの人は、そんなことまで知っているのか。 「俺と兄さんの傍にはさ、得体の知れない人間は寄っちゃダメなんだ」 「得体の知れない……?」 「俺にとって大半の人間は、得体の知れない奴らなんだよ。俺と兄さんの2人だけの空間がベストなんだ」 わーおヤンブラ……。 そう言いながらも、彼は俺へと手を伸ばす。 「やめ…………あ?」 「やっと効いてきたかぁ。さっき殴ってきたから、ダメだったかと思った!」 身体に、あまり力が入らない。ついでになんだか、熱い気がする。くそっ、危険な奴から渡される水は何かがあるって愛が言ってたのに! 芹澤さんはそんな俺へと跨り、ゆっくりと押し倒した。 「ね、君はどんな人なの?教えてよ」 「やめて、ください」 「後輩くんには、どんなことされたのかな?そんで、どうして今はそんな普通に彼と接してるの?」 芹澤さんの顔が、首元に埋まる。 濡れた感触が伝わり、身震いした。 「あんなに酷い目にあったのに、許しちゃうの?」 耳元で囁かれた小さな言葉は、俺の中でひどくよく響いた。 *
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