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健太は事件以来、無人と化した実家には一歩も近付いていない。
そんな健太は家族の事を思い出さない日はなかった。
しかし思い出すと、深い喪失感に襲われ、気が狂いそうになる日々を送っている。
健太の今の心の支えは霞だった。
いや、健太にとって霞は全てだった。
「結衣ぃぃぃ!」
健太はまた、例の夢を見た。
「…健太さん」
一緒のベッドで眠っていた霞は、優しく健太を抱き締める。
「…はぁはぁ…ごめんね霞さん」
枯れたはずの涙を流し、健太は力強く霞を抱き締めた。
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