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それから僕は、声も無く一頻り涙を流すと、すっかり落ち着きを取り戻した。
そして、盛大に自己嫌悪に陥いって、机に突っ伏しているのが現状だ。
本当に感情なんて無ければ良かったと心底思う。そうすれば、こんな醜態を先輩の前で晒すことは無かったのに。
「先輩、すみません。情けないところを見せちゃって……ホント恥ずかしいです」
「ううん、大丈夫だって。私、全然気にしてないよ。話してくれて、逆に嬉しかったし……」
先輩はそう、優しく言ってくれた。
でも、僕としては、穴があったら入りたいというか、どこか遠くへ逃げ出したい気分だった。
部長と先輩の本音のやりとりに感化されたのがきっかけだろうか?
熱に浮かされるように自分の過去話をしてしまった。
このタイミングで先輩に自分の生い立ちを話すつもりなんて全く無かったし、決して不幸自慢して、先輩の同情を買いたかった訳じゃない。
自分を卑下する先輩に、もっと駄目な僕という人間を見せて先輩を安心させてあげたかっただけだ。
ただ、それだけのつもりだった。
…………本当にそれだけだろうか?
たぶん、そうじゃない。
僕は先輩に僕のこと、もっと知って欲しかったんだ。
いつもの上辺の取り繕った仮面ではなく素の自分を。
心の奥底に隠していた鬱屈を先輩に全部吐き出して楽になりたかったのと、癒えていなかった傷口を晒して慰めてもらいたかったのだ。
けど、それはただの甘えだ。
僕は先輩に甘えようとしたに過ぎない。
最低な奴だ。
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