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どんどん壁際に追いやられて、好奇な瞳にさらされる。
「へー。オトコ女って言う割に、意外と可愛いーじゃん」
「いいなー。テストで負けたらヤラしてくれるとか、オトコ前じゃーん」
つんと香水の匂いがして、吐き気を催す。
オレが顔を歪めると、
「あはは!さすがのオトコ女でも、この状況は怖いんだぁ」
と喜んで声を上げた。
テメーら、本物の鬼畜だな!
まだアイツの方が可愛く思える。
いや、嘘。
全然可愛くねぇ。
「なんかさー、こいつ、宮古ともヤッてるらしいよ」
茶髪が言った。
「マジかよー!宮っちゃんとも!? ガキくせー割にけっこーたぶらかしちゃってる系~?」
「ち、ちがっ…!!」
「じゃー、俺らとヤッてもへーきだよねぇ?」
「!?」
その瞬間、集団の一人に顎を掴まれた。
そいつがニタニタしてオレへと近づいてくる。
殴ろうにも、他の奴らに押さえつけられているせいで殴るに殴れない。
マジかよ!
うそだろっ!?
なんでこいつらなんかに…っ!!
カシャッ…!!
するとその時、携帯のシャッター音が響いた。
「は?誰?そんなおいしいことしてくれてんの」
オレに近づいてきていた男が、にやりと笑った。
「!?!?!?!?」
これこそ絶体絶命だ!
ネタを取られていたら、オレはこいつらの奴隷だ。
これこそ終わりだ!!
うるうると涙腺が弱り始めてきた。
「誰だ誰だ」と、ニヤニヤしている声が徐々に遠ざかる。
「……?」
覚悟を決めて、視線を上げるとそこに倉森が………
立っていた。
「暴行現場の写真、しっかりと納めさせていただきました」
こいつはこんな時でも、相変わらずスカしていた。
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