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「あ、あいつって誰のことです?」 僕は、せきを切って聞いていた。 「そう、思い焦るな」 一哉さんは、軽く首を傾けると僕の方を見て皮肉そうに笑った。 「正直、こんなことが無ければ助けを求めたくもない奴だ。協力してくれるかもわからない」 一哉さんは、ふっと視線をそらせた。 何か思い出したように表情濁らせた。だが、すぐにまた目を伏せて表情を戻した。 僕の視線が一哉さんを見つめたままに気がついたのか。 「気になるのか?」 「ええ。僕は!この状況を救ってくれるのなら、一生懸命にお願いするつもりです。その人に、その人に会わせてください」 両手を掲げて襟元にすがりつくと一哉さんは静かに言った。 「もう、会っている」 「え、僕が会っている人……ですか」 思考を巡らせる。だけどわからなくて黙って首を横にふった。
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