第1章

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第1章

今や、テレビの業界も不況の嵐! 予算は削られるは、ギャラは抑えつけられるは! いやな時代だ。 そのくせ、ハイビジョンに4Kに8Kにと  映像だけはどんどんきれいになる。 お陰で  機材費と編集費だけはねあがり、 肝心の制作費は安くなり、クオリティは落ちる。 そもそも、3Dといい4Kといい、客である視聴者は求めてない。 家電メーカー様様の為の国策だが、全く無駄遣いでしかない。 さらに 「コンプライアンス」ってやつもめんどくさい。 本来、「法令遵守」つまり、法律を守るの意味なので 法律さえ守れば何をしてもいいのに、 むしろ社会的規範という意味で業界を席巻している。 でも現実的には、「視聴者からのクレームを避ける」の一点。 テレビ局が二世だらけになり、クレームを面倒がっている。 クレーム怖がるクリエイターなんて、実に糞なのだが!! おかげで、番組は面白くなくなり、視聴者は減る。 すると、テレビ屋は仕事が減っていく。 そう言う訳で、テレビ屋も食うためには、 色々やらなきゃいけなくなる。 かく言う俺は、テレビのディレクター・・・結構やくざな稼業である。 「エグザイルでも使うか・・・」 「AKBもいいね」 なんて話してはいるが、綺麗な高層ビルの会議室で スーツ姿という感じではない。 タバコの煙の充満する まあ高校の体育系クラブの部室の様な 雑然とちらかった会社の会議室で どんよりした空気の中で  汚い字で書かれたホワイトボードで話し込む。 六本木でモデルやタレントとデートして 最新の車とマンション・・・ なんて花形職業だったのは、 遠~い、 遠~い、 昔の話。 金はないし、 睡眠時間もないし、 何より安定もない。 しかも、最近は、労基もうるさく、会社で泊まろうとすると帰れと言われる。 つまり だらだらする自由もない。 要は、ブラック企業の最前線だ。 だけど、 好きなんだよね・・・テレビってのが! 食うためには、 なんでもやります。 しかも楽しくってのが、 俺の信条だ。 なので、面白ければ何でもやる。 image=484241426.jpg
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