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怪しい、あまりに不自然だ。 アポは昨日とったばかり・・・ あわてて全てを持ち出した形跡なのだ。 確か山瀬は50も過ぎた初老の独身、 そんな男が、まるで業者が、 やったかのように綺麗に掃除をしてる。 この不自然な整理は、ヤバい組織の プロの「掃除屋さん」かも? 彼らは、綺麗に人を消す。 そこで殺すか、他で殺すかは ケースバイケースだが、血も嘔吐物も 専用の強力洗剤で洗いつくし、 さも何もなかったかのように 部屋を元に戻す。 漂白剤の類いのケミカルな匂いは しないし、プロなら鍵を閉めるなぁ とか、ぼやーっと考えながら進む。 すると、ちょっとお洒落な書斎机が 目に入った。 とりあえずその引き出しを 全部あけてみた・・・ 何もない・・・・からっぽだ。 しかも、からっぽの上、どの引き出しも ほこりが、しっかり付いている。 つまり、慌てて 物を持ち出したのではなく ずっと長い間、からっぽだったのだ。 俺はゾッとした。 居住者の山瀬は、まるで死んだような 虚しい孤独感の中で生きているのだ。 芸能界と言う派手な世界から外れ、 その反動で虚無感に陥る事は、 よくある話ではある。 きっと、モモヨのマネジャーを 辞めてから没落したんだろう。 一度、開き直った俺は、 押入れも、 クローゼットも全てあけてみた ・・からっぽだ。 まったくの「からっぽの世界」 もう帰ろう・・・そのとき、 カレンダーの今日の日付に小さな書き込みを見つけた 俺の名前だとまずい・・・もし失踪だと、 俺が容疑者になる・・・消しておこう 16時にアポが書いてる ・・・俺のことだ。 これはその部分を破りとっておいた。 さらに、その下に鉛筆で書いて あったのは、 局の名前でもなく俺の名前ではなく こんな言葉が・・・「双子のリロイズ」
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