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白い天蓋を持つドーム状の建物の屋内。
そこで二人の男が向き合っている。一人は三十代前半と思しき男で、目鼻立ちがくっきりとして、端正な顔立ちをしている。
もう一人は老年の男で白装束を身に纏い、顔はヴェールで覆われ、その表情、顔貌を窺い知ることは出来ない。
老年の男は、自分の目の前にかしずく三十代の男に告げる。
「ガトゥ。聴こえるか。ガトゥ」
「議長。ガトゥはここに。しかと聴こえます」
ガトゥと呼ばれた男は老年の男、「議長」と敬称されたの男に最大限の敬意を払っているようだ。
「議長」は重々しい声でガトゥに告げる。
「ガトゥ。愛しい子よ。我が愛弟子よ。私達が常に眼中に置かなければならないのは『正しい歴史』への愛だ」
ガトゥは静かに議長の声に耳を傾けている。
「正しい歴史」への愛とは二人の共通認識であり、二人が共有する、一つの「善」でもあるようだった。
議長は両手を広げて、諭すようにガトゥへ語り掛ける。
「過去、現在、未来を行き来して、歴史を修正するなどあってはならない。そのような奸計を目論む者たちを取り締まるのが我々の役目だ」
「勿論です。時間移動が出来る人間が数多くなった現在となれぱ尚更です」
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