15人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
「おい。御手洗、青井、お前ら二人に話がある」
始まりは担任のそんな一言だった。
初夏のぬるい風が吹く夕焼けにはまだ早い、放課後の豊泉学園高校の教室で担任から押し付けられた仕事である『恋愛ナビゲーター(笑)』の活動をしていた御手洗 優也(みたらい ゆうや)と青井 春乃(あおい はるの)、2人の1年生は突如として担任である高宮 フユ(たかみや ふゆ)から掛けられた言葉にそれぞれ反応を示す。
「……はぁ。何の御用です?なんかまた新しい恋愛ナビゲーター(笑)ネタですか?」
御手洗 優也はやれやれと七面倒臭そうに言葉を返し、青井 春乃は何を言われるのだろうと身体をこわばらせた。
「ふむ。お前ら二人に少しの間違う学校に行ってもらおうかと思ってな」
そんな二人に全身を真っ赤なタイトスーツで着飾った高宮 フユが答える。
整った顔に少しイタズラっぽい笑みを湛えながら。
「……いや、全く意味がわからないんですが」
気だるそうに高宮 フユに向けて言葉を紡ぐ御手洗 優也の表情はまさしく『は?何言ってんのこいつ?』と言った感じである。
「ふぇっ!?」
その横ではとても高校生には見えない幼い容姿をした青井 春乃がまさしく、鳩が豆鉄砲を喰らったような表情をしてなんとも可愛らしい間抜けな声を漏らしていた。
最初のコメントを投稿しよう!