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「ひとまずは、おめでとう、って言っておくべきなんだろうね」 「たしかにおめでたいことではあるけど、それはねむにじゃなくててつまんに言ってあげなよ!」 「ああ、きみの彼氏さんだったかな?」 「そうだよっ! てつまんってね、とってもとってもやさしいし、ねむのお願いはなんでも聞いてくれるんだよ!」 「それは結構なことじゃないか。その自慢の彼氏が独力でロボットをつくったんだ、彼女であるきみも鼻が高いんじゃないかな?」  問いには答えず、言うまでもないとばかりに少女はにこやかな笑みを返す。それは梅雨が明けた最初の晴天みたいな輝きを放っていた。  放課後の中庭は陽光を注がれながらささやかな喧騒を浴びている。  遠くで運動部のかけ声と吹奏楽部の奏でる音色を耳にしながらふたりは会話をする。  そこには芝生とレンガ敷きの歩道があって、モチの木が植えられそのそばにベンチが設えられていた。  用務員のおにいさんの手入れが行き届いたベンチにはささくれや、塗料の剥がれひとつ見当たらない。  大村なるその男が鼻唄まじりで楽しそうに修繕作業する姿に好感を抱く生徒も多い。甘いマスクのおかげかもしれない。
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