第3章の続き

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 2度目の舌打ちが聞こえた後、洪が言った。  「ああそれで構わない。本人と代わってくれないか」  「只今中村様は、ご自身の保険会社と連絡を取っておられます」  3度目の舌打ち。  「林様のお電話番号を、勝手に中村様へお教えする訳にも行かないものですから、警備室が代りにご連絡差し上げている次第で御座います。  林様、大変お手数かとは思いますが、一度お車の状態をご確認して頂いた方が宜しいかと思いますが。  中村様も直接お詫びがしたいと申されております」  何とか舌を噛むことなく言い切った。  一瞬の沈黙を経て、洪が言った。  「しかたないな。今から下りる」  通話の切れる音がした。  すかさず千里の番号を呼び出してプッシュした。
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