第1章 心の兵団

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  地平の果てまで続いているかの様な桃色と、一方は紫の空。   広がる大地は緑色の絨毯を敷き詰めた様な美麗さを持ち、そこから西方の彼方に聳そびえる山脈は紫に霞んでいる。   東方の樹海の常緑樹達は、優しく輝いている。  北方の浮遊群島は濃厚な赤紫色の光を纏い激しく揺らいで浮かんでいる。  南方の都市は淡い暖色系の優しさに包まれている。  ──この世界は、広がり続けている。まだ、もっと沢山の物が世界に降り注ごうとしている。人・創造主の山崎ナオトが脳に障害を持つか死ぬか……その時まで無限の可能性を広げ続けるのであろう。   世界の名は『心情世界』。   それは、始めは二百個体しかいなかった『もの』を数えきれぬ程まで増やし、創造主の『心の均衡』を守らせている。そして、創造主・山崎ナオトの為だけに、彼らは一つの機能として存在する。護り手の彼らには個体名はあっても、種族名は存在しない。『もの』と単純に、彼らはは創造主への忠誠の意を込めて、自分達の事を呼ぶ。   しかし彼らは創造主を護る戦士の誇りを持ち合わせており、故にそれを専門とする『もの』は、組織名とも言えるもう一つの名を──『心の兵団』を名乗っていた。
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