序章

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田舎町に不似合な“バン”の荒々しい音が響き渡る。 「まだ着かないのかい?」 読んでいた本を脇に置きため息まじりに眼鏡の青年は呟いた。すぐに怒りの表情を浮かべた運転手席の青年は 「急いでいるんですから急かさないでください。」 小奇麗なスーツを着こなしているが 2人共風貌から“普通の”サラリーマンではないのは明確である。 「全く嫌な仕事だよねぇ~」 眼鏡の青年は、窓から見える景色を見ながらそう呟いた。 運転手の青年は、目線を変えずに答える。 「そうですね。本当に嫌な仕事だ。報酬が出たら俺は、田舎でゆっくり暮らしたいですね。」 「え?ははは。それ死亡フラグだよ!」 「また訳のわからない事を言って・・・。」 会話を続けながらもバンは速度を増し田舎道を駆けて行く。
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