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「パパー!パーパー!」 昨晩の酒が抜けきらない体を、娘の絢香が激しく揺する。 今日は久しぶりに家族で自然公園に遊びに行く日だ。 正直もう少し寝かせてくれと心の中で叫びながらも、重い体を起こし洗面所に向かう。 最近は家族との時間がなかなかつくれず、家庭をないがしろにしていた事もあり泣く泣く黙って支度をはじめた。 「あなた、シャツどれにする??」 妻の唯が追い打ちをかけるように声を掛けてきた。 「頼むから用意くらいゆっくりさしてくれや!」 思わず少し声を荒らげてしまった。 まずい・・・案の定唯の方を恐る恐る見ると、母娘が同じ顔で僕を睨みつけている。 「すいません・・・」 およそ、一家の大黒柱とは思えぬくらいに弱々しい声で謝りながら急いで準備を終わらせた。 これも自分が蒔いた種・・・そう自分に何度も言い聞かせた。 休日とゆうこともあり、公園は親子連れで溢れかえっていた。 公園に着いてからの絢香のハシャギ様には目を見張るものがあった。 次からは首輪でも必要かと考えさせられるくらいだった。 その姿を見て、もっと家族との時間を大切にしなければと痛感した。 「絢香ー!お薬のじかんだよー!」と、唯が呼びつける。 しぶしぶ唯に歩み寄っていく絢香の目には涙が浮かんでいる。 絢香には、生まれた当初から持病があった。 先天性の特定疾患。いわゆる難病と呼ばれるものである。 染色体に問題があるらしく、定期的に薬を処方しないと全身が痙攣を起こし呼吸困難に陥る。 2歳の絢香は薬さえ飲んでいれば普通の生活を送れるが、3年後に生きていられる可能性は10%に満たない。 未だ有効な治療法は見つかっておらず、病院からも残りの時間を有意義になどと言われる状態である。 なぜ絢香が・・・などと最初は夫婦共々落胆していたが、小さいながらに頑張っている絢香に勇気づけられ何とか前向きに毎日をおくっている。
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