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ニコニコと微笑む若先生にあたしは慣れてなくて。 ふいっと顔を背けていた。 「蜜」 あたしを呼ぶその声は、変わらずに低い音。 「今日は大武と何してた?」 若先生はあたしの右腕を掴み、ソファに連れて行く。 「べ、べっつに何も」 「そ?」 掴んだ右腕を更にクイッと引かれて、あたしの顔は若先生に触れそうになった。 「今度は、眼、閉じとけよ」 最後の文字を言い終わるか、終わらないかで唇を塞がれた。 「ん」 触れるだけの優しいキス。 何度も何度も重なる唇。 だけど変わらない、優しいキス。 いつの間にかまたそれに応えていたあたし。 「っ」 ほんとに優しく触れられて、食まれて。 気持ちいい。 「気持ちいい?」 ドキリ、心臓が波立つ。 心の中を言い当てられたみたい。 一瞬合った視線はまたすぐ閉じられて。 でも、次に降ってきたキスは別人かと見紛う程のものだった。
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