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毎日毎晩愛を育んでいた為か 一度飛んでしまった後、朝まで戻ってくる事は無かった。 目が覚めて、ふと思った事は 早速兄との約束を破っている事。 昨日、ダメ!って言われたのに まぁ、守るつもりもないけど。 もう気付けば今年も後二日。 この二ヶ月はホントに色んな事があったなぁ。 隣に眠る若先生に目を向けて 怒濤の日々を巡らせる。 お互いを知る前に こうなって。 知れば知るほど堕ちていった。 いつも同じところで働いていたのに そんな事は微塵も考えていなかった頃が懐かしくて。 大武先生に憧れていた。 今ももちろん憧れてはいるけど、若先生のとは随分違う。 ふふ、と堪えきれずに零れた笑みが悪魔の尻尾に火をつけていた。 「オレの寝顔を見て笑うとは かなりのいい度胸だな」 「え"!」 突然、バチリと開いた目が あたしを刺す。 「あ、そぅじゃなくて そんなんじゃ、なくて」 唇の端をグイとあげて 眼が細くなり あたしをクルリと反転させる よくよく考えてみると 朝、目覚めてから何事もなく 無事だった事はほとんど無かったなぁ、と、どこか余裕があったりして。 フロントを滑る掌も バックを這う唇も 底無しの愛に溺れる 一過程。 「りょ、せんせ…、好、き」 途切れる息に混じって呟いた。 「燃えてきた」 少しの微笑いが含まれた 夕べも聞いたセリフ その威力は体験済みだけど まだまだ慣れない響きにゾクリと心を震わせていた。
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