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食事会の為に
連れられたのは小洒落たイタリアンレストラン。
中に入ると、ガーリックとチーズの焼けた香ばしい匂いが鼻につく。
途端に空腹だった事を思い出し、胃が活発に動き出すのが分かった。
遅れる、はずの若先生を含め他数人は何故かテーブルに付いていて、あたし達がどうやら一番最後だったらしい。
「遅いですよー、大森先生!」
若先生の隣ではしゃぐのは器械出しをしていた、初めにあたしを閉め出したナースさん。
前立ちだった福山先生はあのまま当直らしく不在、引き継ぎをした山下先生と外回りのナースさんが2人。
「遅かったわね折原、こっちおいで」
山下先生があたしを手招きした。
「遅れてすいません」
あたしはみんなに謝って山下先生の隣に座った。
必然的にその隣は大森先生で。
「遅くなりました。申し訳ありません」
あたしが席に着いたのを見て、大森先生も腰かける。
レディファースト?
まさか。
みんなが席に着いてすぐに
食前酒のシャンパンがグラスに落ちていく。
綺麗な沫が金色に光る液体の上でシュワシュワと音を立てて弾けていく。
そんな事を考えながら、色んな思惑を含んでいそうな食事会が始められた。
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