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チャイムを押すのに 躊躇う(ためらう)のは何故。 ドアの前でとにかく落ち着こうと一呼吸置いてチャイムを鳴らした。 ウマイ言い訳は思いつかず。 あ、でも他人の事なんかどうでもいい若先生の事だ。 きっと気にしてないかも。 ドアが開いて、目、だけで 入れ、と言われたみたい。 「こ、こんにちは」 自分家に入るよりもかなりの緊張を強いられるこの威圧感は どうやって兼ね備わったモノなんだろうか。 パパ先生はどちらかっていうと 柔らかい感じなのに。 お母さんが威圧感に溢れるヒトだったりするのかなぁ。 「あ、これ荷物です」 若先生にバッグを手渡して 居た堪れずに、じゃ、とクルリ反転して部屋を出る。 「部屋、帰れねぇんじゃねえの?」 「は?」 「行かない方がいいんだろ」 「……」 「だから、出てきたんだろ」 口を開いたまま、話すに話せず 数秒。 「どうぞ、折原さん」 ニコリと親切な 診察室での若先生に遭遇した。 ヒィ! 悲鳴をあげたかったけど ホントは有難いんだけど ちょっと恐い。 玄関のドアがパタンと閉まり あたしはモタモタと靴を脱いで先を歩く若先生に続いた。
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