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入り口に向けた顔を元に戻して、何事もなかったかのように大森先生に話を続ける。 「先生は名古屋でも意地悪でしたから、そのイメージが抜けません」 第一印象って、大事ですねー? と付け加えて。 今さっき見た人物を頭から払拭させようとして、敢えて何でもないような態度を取る。 こんなシチュエーションで若先生と遭遇した事がなくていったいどうやって顔を合わせればいいのか、ほんとに不明。 いきなり騒ぎ出す心臓はアルコールの力を借りて更にスピードをあげていく。 突然、ふ、と緩んだ目と口元 「じゃあ」 "Shall I show different me?” 「え」 そして、紡ぎ出されたキレイな英語 流暢ともいう。 だいたい、T大を卒業するような人達は外国語を話せる人が多い。 「No,thank you.」 負けじと英語で断りを入れた。 「You are open to attack at everything.」 (隙だらけ……) 「Where……?」 (は?どこが?) 飄々とした態度は全く崩れる事を知らない。 「全部」 そう言って 右手の親指をあたしの唇に押し当てた。
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