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あたしの位置は奥から二つ目 大森先生の位置は一番奥 あたしの対面には浅野先生、その右隣にはナース。 それは一瞬ヒタ、とくっ付いて 何もなかったかのように離れた。 空気の流れが止まったかと思うほど 一連の動作はゆっくりに流れて 我に返った時には 大森先生は浅野先生と話していた。 こんな こんな閉じられた空間で今の出来事なんて誰も見ていなくて そんな些細な事だから きっと気にも留めなくなる 「大森先生、弁いつやってたの?」 そんな会話が聞こえだして 周囲の速さをやっと取り戻した。 「吉川先生、もっと飲んで下さい!」 「先生、結婚してるんですか」 現実の世界に引き戻されて たくさんの会話が同時に拾えるようになった。 思わず、聖徳太子と呼ばれていた偉人の話を思い出して苦笑い。 「折原の勘はどうやって働くわけ?」 不意に飛んで来た浅野先生のセリフ。 「は?カン??intuitionですか?」 「何で英語に?」 「あ」 隣でまた、ふ、と鼻から抜ける音。 「いえ、カンって、何カンだろって……はは」 一人のナースが自分のジョッキを手に浅野先生の隣、大森先生の前に鎮座した。 「大森先生、あたしと付き合いませんか??」 降って湧いた登場と 脈絡の無い会話にちょっとビックリする。
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