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そんな艶々にあてられて あたしの緊張は今にも針が振り切れんばかりにマックスで もう、あれやこれやと訳が分からない。 そんなあたしを知ってか知らずか、フ、と上から漏れた小さな笑い 「蜜、お前スゲー甘い」 続いた言葉は耳元へ直接滑り込んだ。 ヤバい。 たったの三文字が あたしの理性を崩壊させた。 ヤバい、なんて日常茶飯的によく使う言葉で。 一日一回は必ず耳にするかもしれない、そんな単語。 危ない、とか、まずい、とか 少しデンジャラス…… そんな意味を含んだ単語だ。 ズクズクと疼く何かが あたしの身体を這い回る。 若先生のやけにゆっくりとした 余裕のある態度が 余計に焦らしを煽っていく。 やっとドアが閉じられて 二人の存在を隔離する 靴を脱ぐと目の前で待っている男に腕を引かれて入った先で 鏡に写ったもう一組のあたし達を確認した。 ピ、という音が聞こえて 奥のバスルームから水の流れる音が響いてきた。 「蜜」 あたしを洗面台に乗せて 頬に掌を寄せ 親指で唇を拭う そして その指はあたしの舌を刺激した。 あぁ、もぅ…… 丁寧に口に含んで 絡んだ視線は 意地悪く細められていた。
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