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「いきなり告白かよ……」 浅野先生も流石に引き気味。 「申し訳ありません。お断りします」 これまた丁寧に頭を下げる大森先生にも苦笑いを付け足して、あたしは一度手洗いへと席を立った。 入り口付近の若先生を取り巻く環境は盛り上がっていて 緊張する事無くすんなりと部屋を出た。 個室を出た直ぐの柱時計は既に22時で。 あれから3時間弱飲んでる事になる。 久しぶりだなぁ、と考えて 足元の感覚が軽くて、けっこう酔いが回っている自分に驚いた。 戻ってくると 宴も酣。 ナース4人は相当入り乱れ、ドクターや技師さん達も普段からはあんまり想像も出来ない状態に。 その中でもやっぱり普段と変わらないのは 若先生と大森先生で。 あたしのさっきまでの席は 積極的なナースさんに陣取られていた。 やむを得ず大森先生の向かいに腰を下ろしてまたチビチビと飲み始める。 「折原、大森先生と仲良しなの」 覗き込むように囁かれたそれ。 隣の浅野先生を見て、首を横に振った。 「さっき、いい雰囲気だったから、てっきりそうかと」 み、見られてた! そりゃ見られてる確率は一番高い位置に居たけどさ。 「そうですか?文句ばっかりでしたけど」 冷静に対応。 取り乱したり、変に否定すると相手の思う壺だ。 「見て下さい。今の方が、よっぽどいい雰囲気だと思いますが?」 あたしは目の前の二人を見た。 ナースさんが押し気味で 大森先生は変わらないが、仲良く盛り上がっいる事には違いないそれを見て、浅野先生も、 そうかなぁ、と渋々頷いた。
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