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フワフワする アルコールの多量摂取により 完全に正しく考える力を無くしてしまった 今のあたしには 怖いものは何にも無かった。 頭の中も 体の末端迄至るところ全てが アルコールに支配されていた。 途中まで、荒井主任と高橋さんが 一緒に帰っていて それからは何となく途切れ途切れの記憶 メモリースティックに全てが保存されていない状態で、気付いた時にはあたしは 若先生の部屋の扉のまえで、本人の後ろに立っていた。 解錠をする後ろ姿を ちょうど背中の真ん中辺りをジッと 見つめていた所でなんとなく我に返る。 静かに開いたドアからは い草の香りが漂ってきて あたしを少しずつ落ち着かせた。 あぁ、日本人で良かった。 部屋に入ると、先に上がっている若先生がリビングの灯りをつける。 「洗面おかりします…」 いつものように、手洗いうがいをすませてリビングに入ると、ペットボトルの水が手渡された。 「飲み過ぎじゃね?」 「…そんなこと、ないです」 飲み過ぎるような事になったのは 誰のせいだ。 …………自分の弱さのせいです、はい。 と、一応謝ってみて。 ソファにどっぷりと腰を落として ペットボトルの蓋を回して中身を煽った。 はー。 と、溜め息をひとつつくと 若先生が隣に座った気配。 右隣があたしよりも深く沈んだのが分かった。
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