第1章

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 ぼくらはそれを見つめ、ただ茫然と河原に立ち尽くしていた。 「……け、警察……!」  誰かの裏返った声と、石に足をとられながら慌ただしく去る足音。  頭上を見上げた。  緑鮮やかな枝葉の向こう、青い空を背にして崖の上に建つ建物からは、うっすらと湯気が立ち上っているように見える。  昨日皆で入った、露天風呂のあたりだ。 「……」  ぼくはもう一度それを見下ろした。  全裸のまま岩場に横たわり、虚ろな目で空を見上げている満の太股は、今はやけに青白く見えた。
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